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教育改革の行方について「読解力」をどう考えるか?


初等教育の学力評価テストの世界標準としては、経済協力開発機構(OECD)の国際学力テスト『学習到達度調査(PISA)』がもっとも有名かと思います。このテストでは、読解力も求められるようになっているので、これまでの日本で行われていたテスト問題と比べると、かなりハードルが高いかもしれません。

しかし、この方向に教育が向かっていくのは間違いないでしょう。そうするといろいろな問題が出てくると思います。ひとつは問題そのものを作るのがたいへんということです。「全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)」や2020年から導入される「大学入試共通テスト」などPISAを意識した問題への移行は進みそうですが、その問題を作るノウハウが新しく必要になると思います。

もちろん教える側の対応も、たいへんになると思います。これまでの教育を受けてきた教師が簡単に対応できるはずもありません。改革は、ゆっくり進むのか、急速に進むのか。混乱もありそうです。正直、私自身、これらの能力を、どう教えていったら良いか、まだわからないというのが正直なところです。中学入試では、こうした問題が先取りして出てきているので、そのあたりにヒントがあるのではないかとは思っています。

実際、私立の中学・高校の授業では、双方向的なアクティブラーニング型が取り入れられてきているのですが、私が教えている生徒達の反応は、あまりよくないです。評価との繋がりが見えにくいということもあるのではないかと思います。


そして、一番大きな問題として「読解力」というものを、どう扱っていくかというのがあると思います。


「昨年 (2004年)1 2月、PISA(OECD「生徒の学習到達度調査 」 )の結果が公表され 、各種メディアで 「読解力低下」と大々的に報じられたのは 、記憶に新しいところです 。この調査の課題が 、論点を整理したり 、批判的に記述することを要求しているため 、日本語の通常の使い方での読解力と異なるのは事実です 。ですから 、この点を強調して 、成績の悪さを擁護する論も見られます 。しかし 、どう呼ぼうとこの種の能力が 、これからの社会で必要であることに間違いはありません 。批判的に読み 、かつ記述できることが望ましいのは当然のことです 。そのためには 、通り一遍ではない 、よりよく読めることが必須なのです。」『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)』


実際に、私が生徒に教えている中でも読解力について、いろいろなレベルがあることを感じます。


読解力のレベル

・文字が読めない

  言葉での思考はできるが、文字を読むことに抵抗。スマホで映像ばかり、文字を読まない。

  数式で出された問題は解けるが、それが文章で書かれると解けなくなる。

・長文が読めない

  短い文なら読めるが、文章が長くなると、つながりがわからなくなり理解できなくなる。

・想像力がない

  物語などで文章に隠された裏の意味などが想像できない。

・論理的思考ができない

  物語文は読めるが、説明文が読めない。読書好きな子に多い。子供の頃から読み聞かせ。

  文章を客観的に構造化して読むことができない。説明文、評論文などが苦手。


これら「読解力」と呼ばれているものをどうするかは、深く検討する必要がありそうです。前記のような読解力に問題のある生徒を教えているのですが、読解力の問題を解かせることで読解力に問題があることはわかっても、読解力を効果的に向上させる具体的な方法が見つかりません。本を読んでみる、文章を書いてみる、文の構造を説明してみるなど、いくつか方法は試してみたのですが、これをやればという効果的な方法は、まだ見つかっていません。脳の発達との関係もあるのではないかと思います。というのは、一部は発達障害の子供に似たような現象があるからです。とりあえず現在は、読解力はあきらめて暗記や計算の他の方法で成績を上げるようにしています。今の教育制度の中では、そういった対応でしのげても、今後、読解力を、どう評価し分析して、効果的な学習につなげていくかは、次の教育改革の鍵になるように思います。


タグ:読解力
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